2015年4月12日日曜日

浮世絵版画


和食や和紙 鉄瓶など日本の良いものが世界に広く認められるようになって、嬉しいですね。

でも、意外に日本の伝統文化を私達 日本人が知らないことってあるように思います。
そんな和の文化を勉強してみたいと思っていました。

知人がプロデュースなどなさっているジャポニスム振興会に出会いました。

ジャポニスム振興会は 日本のこころと文化を伝える講演会やコンサートを全国各地で展開しています。伝統芸能や伝統工芸など知る機会を得られます。

どなたでも入会できますが、会員にならなくても参加出来る催しも沢山あります。

詳しくは下記HPをご覧ください。



ジャポニスム振興会主催のシリーズ“江戸の粋”~江戸職人の手わざ 
「浮世絵~江戸木版画 世界」の講座を受けました。

講師は江戸木版画 高橋工房六代目 高橋由貴子さんです。高橋さんは安政年間から続く摺り師の家に生まれた方。お着物がよく似合う素敵な女性で、お話も明瞭で楽しい時間でした。

東京伝統木版画協同組合理事長をはじめとした数々の素晴らしい肩書がおありの方ですが、版画の魅力以前にこの方のお人柄に魅了されてしまいました。

私達が通常浮世絵と言っている物 実は浮世絵と浮世絵版画と2種類あり、浮世絵は手描きで描かれたもののみを指すそうです。

伝統版画の世界には絵師(代表的な人物として 北斎 歌麿 写楽など)・彫師摺師と分業で製作され、それを束ねるプロデューサーが版元と呼ばれるそうで、現在も同様になされているとのこと。

肉筆の浮世絵は高価であったため特定の人しか買えず、一般庶民の情報誌的な役割(名所絵・役者絵・美人画・武者絵・相撲絵など)として浮世絵版画が誕生しました。

価格はかけそば1、2杯分 16文くらいだったとか

版元が企画を行い、絵師が版下絵を描き(この時は墨のみで描く)、彫師が主版 校合摺りを制作し、絵師が色版を指定

彫師がそれに基づき色版を制作し、摺師が主版 色版を摺る そして版元が出版するという工程になっています。

校合摺りとは色版を作る為に摺られた下絵のことです。

彫師や摺師は製作過程で決して自分なりの表現を加えてはならず、忠実に絵師の原画を表現しなければならないそうです。

現在では過去に出版された版画を新たに版から彫り摺る復刻という仕事と、画家などの肉筆画を伝統の技で木版画にする再現というお仕事をされているとのことでした。


版木は山桜・桂・柘植などが使われます。

和紙は楮(こうぞ) 越前和紙のみ使われます。

絵具は鉱物から出来た顔料やケミカルな染料を使うそうです。

馬の尻尾で作られた刷毛やブラシも使います。

摺るのに使うばれんは竹の皮を裂いて細く編んで丸く綴じて行き、竹の皮で包みます。

伝統工芸で使われるばれんは八女のかわしろ竹 11月初旬に落ちた皮で作るそうで、通産省が定める伝統工芸とは手作りであること、100年同じ手法で同じ材料で製作されるということも条件なのだとか。

それを守って行く世界って大変なことですね。



講義の後、4版摺りの体験をさせて頂きました。
多少ずれても大丈夫なデザインでしたが、絵具のさじ加減やばれんの力加減など、難しかったです。



舟越 桂さんのピノキオの蒔絵など、現代の版画も見せて頂きましたが、とても素晴らしい作品でした。著作権があると思うのでその写真をご紹介出来ないのが残念ですが。。

http://www.takahashi-kobo.com/emaki/pinocchio.html

上記でちょっとだけご覧になれます。絵本にもなりましたが、書店では扱われていないようです。

他にも歌麿の作品にはバックに白雲母が使われることが多く、写楽の作品は黒雲母が多く使われたなど、沢山のことを教えて頂きました。

皆さんも機会があったら、是非参加されてみては如何でしょうか?